人のX線投影画像・解析ソフト

人用X線画像解析ソフトウェア“NNs-DASM_Ver.1.0.0”
Neural Networks for Detection of Abnormal Shadows from X-ray Images of Lungs for Man
*医師及び医療従事者の皆様に対して感謝を込めて,青色の会社「T-iRECマーク」を使用しています。
<サービスの内容>
 人の胸部X線写真は健康診断の検査項目の一つとして使用されております。(参考文献[5](2021年12月号)に掲載された「特集」記事参照)しかしながら,胸部X線写真によって「肺がん」を検出することは非常に難しく,発症した場合の「肺がん最新治療」として,①切除範囲をより小さくした外科手術,②効果的にパワーを集中する放射線治療,③遺伝子変異を狙い撃ち薬物治療などが挙げられています。
 いずれの治療法においても早期発見によって早期治療が可能となり,全快までの期間が短く,しかも医療費負担が少なくなると考えられます。現在では,X線CTを用いれば正確な肺の立体像を取得でき,また麻酔技術の進歩により患者の負担も減少しています。しかし,肺がんは“原発”の位置によっては,右肺(上葉・中葉・下葉)と左肺(上葉・下葉)のかなりの部分を切除すると復元できず,運動能力が低下するだけでなく,日常の生活は極めて困難となると考えられます。 また,X線CT装置の普及率は国内で30%程度という点も無視できません。国内でも離島や過疎化地方では,十分には普及しておらず,国外においては異常かどうかさえ不明なままで命を失う人が多いのが現状です。一方,X線写真画像はフィルムでなく,拡張子[.dcm]のディジタルデータとなったことで,フィルムを運搬することなく解析結果を得ることができれば、まだまだ多くの国内外の人命を守ることができます。
 本ソフトは医師の高度な技術とX線CT装置の結果に基づいて約10㎜の大きさの異常領域(現在までのトップデータ:約5㎜の異常部)を検出することに成功しております。 本ソフトウェアを用いますと,人間ドックなどで得られたX線写真画像を1カ月も待つことなく,より短時間(10分程度)で胸部X線写真画像の異常部を調査することができます。
【ソフトウェア取扱説明書】
1. はじめに  
 医師を中心とした医療従事者及び人間ドックを受診された皆様にとって,本ソフトウェア(NNs-DASM_V.1.0.0)は決して人の医療診断用ソフトウェア(薬事法で定められた医療診断ソフト)ではありません。その前提をふまえても,このソフトウェアでは,担当の医師と人間ドックなどの受診者自身によって使用するかどうかを決めることができます。  
 本ソフトウェアは,高度な読影技術を持つ医師とX線CT装置から得られた異常部(10㎜程度の早期肺癌)の位置を胸部X線写真画像と対応付けることによって,X線CT装置を用いなくても胸部X線写真画像を解析して,小さな異常部を発見することができるソフトウェアの開発に成功しました。
 本ソフトウェアは,X線CT装置による検診を受けることができない国内の医療施設(例えば,国内であれば過疎地域や離島の診療所)や国外の発展途上国や医療に関して後進国での利用が期待されます。  
2.人のX線画像解析ソフトウェア“NNs-DASM_Ver.1.0.0”とは  
 本ソフトウェア「NNs-DASM_Ver.1.0.0」は教師有り・階層型ニューラルネットワークを用いて,“周辺のX線透過強度分布と異なる領域(異常部)”を探索します。詳細には,X線写真の解析に関する学術研究論文[1~3]並びに米国パテント[4]などの参考資料をご覧ください。 医師の皆様が人の胸部X線写真画像を解析される場合には,医療関係者の高度な読影技術を駆使され,数名の医師が1枚当たり2~3分で行われると聞いております。これは大変な負担です。本研究をはじめた当初は,1枚当たり大きくて重い写真フィルムで,持ち運びが困難で,しかも保管することが容易ではありませんでした。最近では,写真と同様X線写真もデジタル化され,容易に転送・解析を短時間で行うことができるようになりました。これに加えて,現在までに培われた医療(読影)技術を具現化すれば,さらに医療従事者をサポートし,わが社の定款にあるように「人の命を守る」を支援することができます。  
3.本ソフトウェアの活用法  
 本ソフトウェアは今なお,発展途上にあります。担当の医師と本人の協力によって通常,異常部の検出は無理と考えられている「異常部」の発見も可能になり,本プログラムを使用していただくことによって早期発見はより安価な治療費とより短い闘病期間を約束できると信じております。このことは,将来的な展望において社会への貢献度も高まってくると考えます。
【注意事項】  
 本資料は出版元㈱ティーアイレックの許可なく,修正・変更及び複写はしてはならない。
【参考文献&研究業績】
[1] S.Kishida et. al. : ” Ensemble Learning in Systems of Neural Networks for Detection of Abnormal Shadows from X-ray Images of Lungs ”, Journal of Signal Processing, Vol.16, No.4, pp.343-346,July 2012.
[2] 岸田 悟他:”胸部X線画像における肺がん検出支援システムの構築と高性能化”, Journal of Signal Processing, Vol.22, No.3, pp.109-120, May 2018.
[3] 岸田 悟:一般社団法人・日本先制臨床医学会 第4回学術大会(2021年11月20,21日), (会場)大崎ブライトコアホール(東京都品川区北品川5丁目5番15号, (大会テーマ)新時代の先制医療(世界へ発信する先制臨床), (講演時間) 学術大会1日目,11月20日(土)14時50分~15時20分, (講演題目) “知と実践の融合”に基づいた医工連携の取組み-胸部X線写真における異常部の検出など-”.
[4] United States Patent : 特許番号(8,798,345),特許付与日(2014年8月5日),出願番号(13/496,391),原出願日(2010年8月16日),優先権主張の基礎出願(2009年第215843号)
[5] “NHKテキスト きょうの健康[特集]肺がん等”2021年12月号,pp.26~41.