ペットX線投影画像・解析ソフト

ペット用X線画像解析ソフトウェア “NNs-DASPet_Ver.1.0.0”
Neural Networks for Detection of Abnormal Shadows from X-ray Images for Pet
*獣医師及び獣医療従事者の皆様に対して感謝を込めて,青色の「T-iRECマーク」を使用しています。
<サービスの内容>
ペットのX線写真画像(拡張子.dcm)において「異常」と思われる領域をかなり高い確率で検出することが出来ます。異常部の早期発見は「ペットの命を守る」ためには不可欠で,より早期の発見によって治療費も少なく,治療期間も短く,生存率は飛躍的に向上することが期待されます。
【ソフトウェア取扱説明書】
1. はじめに  
 獣医師やペット飼主の皆様に,最初にお断りしておきます。本ソフトウェア(NNs-DASPet_Ver.1.0.0)はペットの医療診断用ソフトウェアではありません。  
 本ソフトウェアでは,優れた獣医師の読影技術やX線CT装置からの結果を教師信号として用いることによって, ペットのX線写真(画像)における“周辺のX線透過強度分布と異なる領域”を検出することができます。獣医師の皆様がペットのX線画像を解析される場合,補助的なツールとしてシステムして利用いただければ幸いです。
2. 本ソフトウェアNNs-DASPet_Ver.1.0.0とは ,教師有り・階層型ニューラルネットワーク(Neural Networks : 神経回路網学)を用いて“周辺のX線透過強度分布と異なる領域”を探索すること”に由来します。詳細には,X線写真の解析に関する学術研究論文[1~3]並びに米国パテント[4]などの参考資料をご覧ください。
 獣医師の皆様は本ソフトウェアが行うようなX線写真を解析することができると思いますが,それには多くの時間と経験が必要となります獣医師の皆様は読影技術に関して,参考文献[5]に獣医師の立場から詳細に解説されておりますので,ご参照ください。  
 本ソフトウェアを用いると,“あるがまま(as it is)”のX線写真(画像)から“周辺のX線透過強度分布と異なる領域”を効率よく,短時間で発見することができます。  
3. なぜ,ペットのX線写真の異常な所見を見逃しやすいかは?
 参考文献[5]によれば,獣医師は,①画像を正確に見る,②どういった点に注意して観察すべきかを把握する,や③知識についての情報が不十分であるなどが挙げられています。そして,これらのことを克服すれば,「読影時のミスもゼロにはならないかもしれないが大幅に減少させることが可能になるだろう」と記載されております。
 さらに,異常な所見を見逃しやすい理由として,画像解析の立場から,①物質によってX線が透過する割合が異なる性質を利用しているが,X線が透過する強度の違いはわずかであること,②高電圧でX線を発生させるために透過X線強度はノイジーであること,や③ペットのX線写真は同じ位置,大きさと姿勢での観察が困難なこと(差分法などが使用できないこと)などが考えられます。  
 X線写真の撮影方法には4種類 (VD(腹背)像,DV(背腹)像,左ラテラル(R→L)像,右ラテラル(L始→R終),)があります。更に,1枚のX線写真には,凡そ2500×2500個の画素(1画素の大きさは0.15~0.2㎜)からなっております。これらのこともまた,獣医師がペットのX線写真を読影することを困難としている理由の1つであると考えられます。
4. 本ソフトウェアの活用法  
 ペットの数は国内でも急激に増えています。にも関わらず,国内のX線CT装置(わかりやすい像が得られるが,ペットの場合には全身麻酔が必要なので弊害もある)を持つ動物病院は少なく,現状では多くの獣医師の皆様はX線写真を利用していらっしゃいます。日本でも欧米のようにペットを家族の一員として扱われつつある現状をかんがみると,獣医師はペットの飼主に対して説明責任が生じます。本ソフトウェアは獣医師や飼主の皆様が簡単にしかも安価で利用できます。また,利用すればするほど,更なる高性能なソフトウェアを開発することができます。どうぞ,本ソフトウェアを御利用いただき,国内外の多くの獣医師や飼い主の皆様にも役立つソフトウェアの開発に御協力並びに御支援いただきますよう,お願い申し上げます。  
【注意事項】  本資料は出版元㈱ティーアイレックの許可なく,修正・変更及び複写はしてはならない。
【参考文献&研究業績】
[1] S.Kishida et. al. : ” Ensemble Learning in Systems of Neural Networks for Detection of Abnormal Shadows from X-ray Images of Lungs ”, Journal of Signal Processing, Vol.16, No.4, pp.343-346,July 2012.
[2] 岸田 悟他:”胸部X線画像における肺がん検出支援システムの構築と高性能化”, Journal of Signal Processing, Vol.22, No.3, pp.109-120, May 2018.
[3] 岸田 悟:一般社団法人・日本先制臨床医学会 第4回学術大会(2021年11月20,21日), (会場)大崎ブライトコアホール(東京都品川区北品川5丁目5番15号, (大会テーマ)新時代の先制医療(世界へ発信する先制臨床), (講演時間) 学術大会1日目,11月20日(土)14時50分~15時20分, (講演題目)“知と実践の融合”に基づいた医工連携の取組み-胸部X線写真における異常部の検出など-”.
[4] United States Patent : 特許番号(8,798,345),特許付与日(2014年8月5日),出願番号(13/496,391),原出願日(2010年8月16日),優先権主張の基礎出願(2009年第215843号)
[5] 華園 究,監修「中出 哲也」,緑書房,「症例で見る 犬と猫の胸部・腹部X線読影」